①現在の事業を始めたきっかけ
もともと障害福祉の世界に長くいました。「(重度)障害者の生活は、最後は入所施設」が常識だった時代からグループホームを作り、そこで受け入れてきました。「断らない福祉」を掲げてきていたので、結果として10年で30カ所近くのグループホームを立ち上げ、運営してきました。
時代がやっと「(重度)障害者もグループホームで地域生活」という新たな常識に移行した頃、私はすでに「グループホームからの本当の自立生活への支援」を考えていました。
しかし実際には、障害を持つ方のアパート等賃貸借において、家賃債務保証会社が拒否するので借りられないという現実にぶつかりました。「ならば作るしかない」というところから、共同代表の西澤とともに「障害者、高齢者の入居リスク・生活リスクの軽減とセットにした家賃債務保証のあり方」を研究し、会社を興し、今の事業に繋がりました。
②具体的にされている居住支援
この図のように、「入居者の安心」と「オーナーの安心」を、入居時・入居後(入居中)に分けて、それぞれ作り上げ、それをパッケージにした居住支援付き住宅の提供をおもにさせてもらっています。
③居住支援をする上で特に心掛けていること
ご自身のできること・したいことを何よりも大事にして、苦手な部分を支える仕組みをオーダーメイドで作り上げることが大切です。よく福祉関係者が失敗してしまう、「先回りの支援」をしないことです。
④今後の居住支援の在り方、連携方法
一つの居住支援法人が、すべてを抱え込むことよりも、複数の居住支援法人等が互いの長所をつなぎ合わせる形で手を取り合い、入居者を中心に置いたネットワークを作っていき、そのネットワークの組み合わせで、地域作りを行っていく、そんなイメージを持っています。
⑤居住支援をしたいと思っている人へのメッセージ
たぶん「居住支援」というアイディアは、昔からあったものです。商店街や文房具屋や八百屋のおじちゃん、スナックのママが地域のさまざまな「お困りごと解決」のお手伝いをさりげなく行ってきて、それが巧妙に繋がっていたのです。
それが家族の形や地域の形が変わり、近所づきあいも減り、そして今では少子高齢化・超高齢社会・人口減少社会というこれまでにない諸課題を私たちは、背負うようになりました。
昔あった「お互いさま」の温かいまちづくりを、現代版にアレンジして再構築する。そんな全体像の中で、自分が得意なことは何かを模索し、ともにこれからの社会を築きあげていきましょう。
友野剛行様プロフィール
- 株式会社ふくしねっと工房代表取締役(障害福祉サービス、飲食等)
- 株式会社あんど共同代表(居住支援法人)
- 船橋市障がい者相談支援事業所連絡協議会 副会長
- 一般社団法人千葉県障害者相談支援事業協会 副会長
- 一般社団法人全国居住支援法人協議会 研修委員
- 一般社団法人千葉県居住支援法人協議会 代表理事
- 趣味:絵画、哲学、神社回り、音楽